フライト日記(SaoPaulo)

2006年3月
(GRU)
 
サンパウロへはこれが4回目の乗務。
今回も2泊4日のスケジュールです。
 
初めて乗務した時は、同じ2泊でもサンパウロ到着が早朝だった(のと、まだ若く体力もあった!)ので、同僚と二人で到着同日に空港でチケットをアレンジして、イグアズの滝(ナイアガラの滝・ヴィクトリアの滝と共に世界三大瀑布の一つ)(ブラジルアルゼンチンパラグアイの三国の国境に位置し、スケールの大きさと水量では世界一の滝)を見に行ったりしたのですが、今回は夜の到着で、ビーチでの日焼けも前回のボネールで懲りていましたし、クルーホテルのピアノを弾かせていただけることがわかっていたので、ステイ中はのんびりピアノの練習をする予定で出発。
 
アムステルダム・スキポール空港へは、今回初めて、ユトレヒトから空港まで直通のInterCity(特急列車)で行きました。 以前は、Duivendrecht(ダウヴェンドレヒト)という駅で乗り換えをしなければならなかったので、直通列車は本当にありがたかったです。
先週開通したばかりのこの路線、数年前から「2005年開通予定!」と謳っていたのに、2005年には開通せず(「開通予定!」だったのに開通しない、なんて・・・日本ではありえませんよねぇ・・・)、「・・・どうやら2007年になるらしい(自信なさげ)」という噂だったのに、突然「開通!」のニュース・・・おもしろい国です。
 
空港内のクルー・センターでリポーティングを済ませ、クルー・センター2階にあるパーサー用のブリーフィング・スペース(シニア・パーサーとジュニア・パーサーあるいはアシスタント・パーサーは、私達よりも30分早く出社して、全体ブリーフィングの前に、ここで打ち合わせをします)に挨拶に行くと、「パーサーがまだ来てないのよ・・・」と不安顔のアシスタント・パーサー。 しばらくして息を切らせながら登場したパーサー・・・パーサーが遅刻・・・(このパーサー、大丈夫かしら・・・と、ちょっと不安になる) 
 
ブリーフィングで、パーサーから「緊急脱出の際、どんなことに気を付けますか?」という質問。 
「ドア・モードがオートマティックになっているか確認する(=オートマティックになっていないと脱出用スライドが出てこない)」
「ドアの外が安全か(=火災が発生していたり、障害物があったりしないか)確認する」
等、マニュアル通りの回答が次々出されても、「まだありませんか?」とパーサー。
「注意深く聞かないといけないことがありませんか?」というヒントに、「・・・あっ!エンジンが止まっているかどうか確認する!(=エンジンが停止していない状態で脱出を始めてしまうと、脱出用スライドも、そして、最初に機外に出た人々も、エンジンに巻き込まれてしまう・・・考えただけで恐ろしい・・・!!)」 
正解!!(このパーサー、大丈夫かも・・・と、ちょっと見直す) 
 
機内に入るといつものように機内の非常用設備のチェック。 そして、ケータリング・チェック(トローリーやコンテイナーの中に不審物がないか確認)とキャビン・チェック(荷物入れやトイレなどに不審物がないか確認)をし(・・・機内のセキュリティー・チェックはどんどん厳しくなっています。 大変ですが、やっぱり安全第一ですからネ)、お客様をお迎えします。
 
機種はボーイング777。 飛行時間は11時間50分。
 
最初のミール・サービスが終わって、機内販売を始める際、アシスタント・パーサーが「外貨のコインって受け取ってよかったんだっけ? ユーロとドルだけいいのよね??」と言うので、「コインで受け取っていいのはユーロだけという風に、数年前(!)に変わったと思うけど・・・」と私が控えめに言うと、パーサーに確認しようということに。 (このアシスタント・パーサー、大丈夫かしら・・・と、ちょっと心配になる)
パーサーに聞いてみると「セールス・メイト(機内販売時に使用するコンピューター)に表示されてる通貨のコインならどれでも受け取っていい」とおっしゃる。 確かに10年位前まではそうだったけれど・・・ 
「でも、日本路線では、コインはユーロ以外受け取らないわよ。 日本円もセールス・メイトに表示があるけど、紙幣でしか支払えないはずよ。」と言うと、パーサーは「あら、私、他の外貨のコインもいつも受け取ってるけど、今まで会社から苦情レターが来たことないから平気、平気」とおっしゃる。 
・・・調べてみたら、コインでの支払いが可能なのは、今はやっぱりユーロだけ。 (このパーサー、大丈夫かしら・・・と再び不安になる)
 
ところで、3月から、ビジネスクラスに搭載されるケーキが変わりました。 
(メニューの日本語訳のお手伝いをしていますが、メニューにはどんなケーキなのかは詳しく書かれていないので)サービス終了後、早速味見に!
今月からアムステルダム発の便のビジネスクラスのデザートとして搭載されているのは・・・
 
「蜂蜜といちじくのケーキ」
 (Honey and Fig tart)

(上にのっているアーモンドスライスも美味!)

(生クリームとチョコレート・スティックを添えて・・・)

 
しっとり・なめらか・甘さ控えめ
先月まで搭載されていた「洋梨としょうがのケーキ」に劣らぬ感動の美味しさです
 
機内販売終了後、ブラジルの入国カードを配布。 ところが、(ブラジルの国語である)ポルトガル語のカードしか搭載されていません。 当然質問の嵐です。 スペイン語になんとなく似ているので何とか答えられましたが、英語のカードがないと本当に不便。 
パーサーに「いつもポルトガル語のカードしか搭載されていないの? ケータリングの搭載ミスなのであれば、サービス・リマークス(=機内での問題を報告する用紙)を書きましょうか?」と言うと、「大使館のミスだからサービス・リマークスは書かなくていいわ。」と言うので、「大使館のミスで搭載されていなかったのなら、ケータリングから連絡があるでしょうし、搭載されていないことをお詫びするPAS(=機内アナウンス)もあるはず。 (機内アナウンスの日本語訳をお手伝いしたので、そういうアナウンスがあることを知っているのです)」と言うと、「書いてもどうせ改善されないから書かなくていいわよ。」ときた・・・本来はパーサーがやるべきことだけれど、私が書くことにしました。 (このパーサー、大丈夫じゃないかも・・・と不安が増す)
 
パーサー、他にもいろいろ粗相(「気圧の変化でお腹がはって苦しい・・・」と小声で伝えた同僚に対し、まわりにお客様がいらしたのにもかかわらず「そんなの、おなOをすればスッキリするわよ!」と大声で答えたらり・・・)をしたらしく、サンパウロ到着時には四面楚歌状態に。 ちょっと気の毒でした・・・上に立つのって大変だなぁと改めて思いました。
 
(つづく・・・)
 

フライト日記(SaoPaulo)」への6件のフィードバック

  1. クルーの方、機内の準備、いろいろとあるようですね。世界各国を飛び、世界の人々が搭乗するのですからルールもあるわけですね。コインはユーロだけというのも判ったような判らないような決め事です。
    そうです、入国カードには時折、困ります。ふっと度忘れすること、誤記入することもあるので…。フライト日付と誕生日とか。落ち着けば当たり前の判っているのに、思わず…。
     

  2. こんばんはぁ。
    フライトお疲れ様でした。
     
    今回の、パーサーさんって・・・オランダ人!? 聞いてる分には、凄く典型的な大雑把、超特急なモノの言い方、そしてそれが時として失礼にあたる・・・オランダ人のように思ってしまったのですけど。。。
     
    それにしても、相変わらず・・・デザート、美味しそう♪私、イチジク大好きなんですぅ。いいなぁ~~ん。

  3. >がんぶぅさん
    コインがユーロだけになったのは、恐らく単に経費削減の一環だと思いますxxx 
    入国カード、日本はなくなったので随分楽になりましたよネ。 でも、近々アメリカ同様、日本でも入国時に指紋や顔写真をとるようになるという噂を聞きました。 安全の為には効果的だと思いますが、入国審査場が混雑するでしょうね・・・。 
     
    >Mayaさん
    パーサーは、お察しの通りオランダ人です。 パーサーはオランダ人(オランダ国籍の人)しかいないと思います。 仕事のできは別として、楽しい人が多いですヨ。
    ケーキ、(プライベートで乗った時に)大量に余っているようだったら(到着後は処分してしまうものなので)もらってきましょうかねぇ・・・

  4. パーサーはオランダ国籍しかいないのですか・・・。ほぉ~。今度KLM乗る機会があれば・・・チェックして見ます♪
     
    余ったら、ケーキ、処分されちゃうのですかぁ。悲しい↓もし持って帰られる事があったら、連絡下さい!!!お邪魔しまぁ~す♪(笑)(^^)

  5. >Mayaさん
    パーサーがオランダ人(あるいはベルギー人)ばかりなのは、(日本ベースの日本人乗務員や韓国ベースの韓国人乗務員など)外国ベースの外国人乗務員に昇級資格がないことと、オランダベースの外国人乗務員(私を含めて4人しかいないと思いますが)にとっては、語学堪能なオランダ人にとっては然程難しくもない語学資格が、昇級資格にあることがネックになっていることが大きいかと思います。 
    パーサーに昇級するには、オランダ語の他に、英語・ドイツ語・フランス語・スペイン語またはイタリア語=計4ヶ国語の資格が必要なので、私など挑戦する気にもなりませんxxx 日本語とオランダ語をその4ヶ国語に加えていいのなら考えたかもしれませんが・・・
    そんな訳で、オランダ人やベルギー人(オランダ国籍の外国人も何人か)ばかりなのです。

  6. パーサーになるのに、そんな数の言語が要するなんて、初めて知りました。だったら、日本語が入っていなく、ましてやオランダ語も母語ではないから、大変ですね。

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