フライト日記 (Tokyo) つづき

2007年5月
(NRT)
 
行きの便はB(=ボーイング)747でしたが、帰りはB777
一人3機種の乗務資格を持っている室乗務員と違って、操縦士は一人1機種しか乗務資格を持っていませんので、機種が変わると操縦士も変わります。
 
機長のフランクとは約15年ぶりの再会。
私がオランダにベースを移して間もない頃、乗務員全員がXXDHCデッド・ヘディング・クルー=乗客として飛行機に乗るクルー)としてエジプトのカイロへ行き、カイロ~ハルツーム(=スーダンの首都)間を乗務した後、再びXXDHCでアムステルダムに戻る、というフライトが付いたことがあったのですが、フランクはその時の副操縦士でした。
その時の機種はA(=エアバス)310(←KLMはもう所有していない機種)
今はB777の立派な機長さんです。 
 
担当は、ビジネスクラス。 相棒は、日本人クルーの大先輩Oさんです
B777はギャレーが(ビジネスクラスに1つ、エコノミークラスに2つの)合計3つしかなく、1機につき3人乗務する日本人クルーが1人ずつ各ギャレーに入れるので、今回は、日本人と同じギャレーになったことを手放しで喜べます(✿ฺ^-^✿ฺ)
それに、同じ便に乗務していても、忙しくて ギャレーが異なる同僚とはほとんど話せないことが多いので、日本ベースで飛んでいた頃お世話になった懐かしい先輩と同じギャレーで、仕事の合間にいろいろお話が伺えると思うと、とても嬉しかったです♬♫
 
もう一つ嬉しかったこと・・・それは、地上職員の友人Vickyさんにお会いできたことです。
 
地上職員の皆さんから引き継いだお客様を、
安全に且つ快適に目的地までお連れするのが私達乗務員の仕事
「あぁ、みんなで力を合わせて頑張っているんだなぁ・・・♡」
(↑"チームワーク"という響きに弱い私・・・(^^ゞ)
・・・と改めて感じて、仕事への意欲が増してきました
(なかなかお目にかかれない)オフィスでお仕事されている方々、ケータリングの方々、機内清掃を担当してくださっている方々・・・様々な部署で働く同僚達のことをいつも心に留め、感謝しながら乗務したいと思っています。
 
この日も成田上空は気流が悪かったようで、離陸後随分長い間"シートベルト着用のサイン"が点灯していました。
ジャンプシート(=乗務員が離着陸時に着席するシート)に座りながら、後輩の日本語の機内アナウンスに耳を傾け、気付いたことを書き留めます。
 
乗務し始めて間もない頃、私は本当に沢山の事を先輩方から教わりました。
当時は、先輩方の方が私達新人よりも人数が多く、一機に乗務する日本人クルーの人数も今より多かったので、休憩中に先輩から機内でいろいろと教えていただく時間があったのですが・・・今は、先輩方の人数も一機に乗務する日本人クルーの人数も減り、後輩が機内で先輩からアドバイスを得る機会もなかろうと思い、日本路線に乗務する時は、休憩時間中OCR(=オーバーヘッド・クルー・レスト=休憩時間中に乗務員が休むベッドルーム)へ行かずに(→どうせ行っても、日本路線に乗務できると嬉しくて興奮してしまって眠れない・・・(^^ゞ)後輩と話をする時間を作るようにしているのです。 
おしゃべりの中で、何か質問したいことが出てくるかもしれませんし、私の方が勉強させていただくこともありますので貴重な時間です。 
  
1989年から日本人クルー4年契約採用が始まり、ついに3年契約となり経験者を優先的に採用するようになった今、

先輩方(→先輩方は終身雇用です)が築き上げてこられた、他社とは一味違う、この会社ならではの日本のサービスを引き継いでいくのはとても難しいことだとは思いますが、できる限りのことをしたい・・・と思っています。
日本路線になかなか乗務できない私にでもできること・・・例えば、機内アナウンス。 10年程前から機内アナウンスのテキスト作成のお手伝いをしていますので、
作成の際に、先輩方のアナウンスから学んだKLMならではの美しい言い回しの保持を心がけています。 ・・・が、テキストにないアナウンスが入った場合は、自分で訳して日本語でアナウンスを入れなければなりません。 そういう時、先輩のアナウンスを聞く機会や、先輩からアドバイスいただくチャンスがあまりないと、やはり大変だと思います。 それで、おこがましいと思いながらも、気が付いたことがあったらお伝えするようにしているのです。
少しでもお役に立てていることを祈りつつ・・・
 
さて、(行きの便では一度もビジネスクラスに姿を見せなかった)パーサー。
前の晩に
「B777の満席のビジネスクラスは本当に忙しいので、少しでも手伝ってもらえると助かる」
と、さり気なくお願いしてはありましたが、やはり一向に手伝いにくる気配はなし・・・(;-_-)
 
2度目のドリンク・サービスの準備をしているところに、パーサーがたまたま通りかかったので、
「わぁ~♪ 手伝いに来てくれたのね! 丁度、今、手伝いに来てもらえたらありがたい、と話していたところだったのよ~(✿ฺ^-^✿ฺ)」
と引き止め、ドリンク・サービスを手伝ってもらいました(笑)
 
一緒のギャレーの相棒=先輩のOさんのエリアのドリンク・サービスをパーサーに代わってもらい、Oさんがお客様全員からお食事のチョイスを伺いました。
満席の時は、これが本当に助かるのです。
 
通常は・・・
 
1. 2度目のドリンク・サービスをしながらオーダーを取り、
2. ドリンク・サービス後、相棒とオーダーの調整を行い、
3. (搭載数よりも注文数が多くなってしまったお料理があった場合は、別のメニューに替えても構わないとおっしゃって下さるお客様を探し)、
4. オーブンを(前菜を出し終わる頃に丁度温まり終わるように)セットし、
5. ドリンク・サービス・トローリーを片付けたり、前菜のサービス用にミール・トローリーの準備をする
 
・・・ので、てんやわんやなのですが、こうして手伝っていただけると、ドリンク・サービスが終わる頃にお食事の注文も取り終わり、オーブンの準備もでき、お客様をあまりお待たせすることなく前菜のサービスに出ることができるのです。
 
パーサーも、お飲み物をお出ししながら、『ビジネスクラスのお客様お一人お一人とお話する』という自分の仕事もこなせたので、満足そうでした。 
 
(親切なパーサーだと、ここでテーブルクロスをかけるのも手伝ってくれたりもするのですが・・・xxx)
 
前菜に続いて主菜・メインミールをお出しし、ミール・トローリーをギャレーに戻してから、客室をまわって日本茶をお配りし、パンやお飲み物のお替りを伺い、再びミール・トローリーで客室へ・・・ミール・トレイをお下げします。
 
(親切なパーサーだと、ここでさり気なく、デザート・トローリーの用意をしておいてくれたりもするのですが・・・xxx)
 
ミールを下げている間にデザート・トローリーを用意しておいてもらえると、お客様をお待たせすることなくデザート・サービスに出ることができるのですが・・・用意されていませんので、まずミール・トローリーを片付け、直ちにデザート・トローリーの準備をします。
 
先にサービスが終わったエコノミークラスの同僚達が手伝いに来てくれ、デザート・サービスは速やかに終了しましたが、今回はやはりいつもよりもお食事のサービスに時間がかかりました・・・ε=(-_-;)ふ~
 
あぁ~やっと何か食べられる・・・
と思ったところにパーサーが来て、
パ 「15分後から休憩
 
私 「15分後からって・・・ビジネスクラスはたった今サービスが終わったところで、まだ片付けもあるし、とても休憩開始時間までに食事を済ませられないのですが・・・( ̄_ ̄|||) 」
 
パ 「休憩中に食べればいいじゃない」
 
それはそうですが・・・

自分が食べ終わってるからって、私達の食事時間を考慮しないで休憩時間を決めてしまうとは・・・(;-_-)
 
私は(行きの便同様)OCR(=クルーが休むベッドルーム)へは最初から行かないつもりでしたから、『前半に休憩へ行く組』に加わっておいてOCRへ行かずにゆっくり食事をすればよかったので別に構わなかったのですが、このパーサーがいつもこんな調子で休憩時間を決めているとしたら、他の同僚達も困るだろうな・・・
と思い、
 
私 「その日の混み具合や客層(赤ちゃん・子供連れが多い、言葉が通じないお客様が多いetc.)によってサービスの終了時間が異なってくるから、普通はエコノミークラス・ビジネスクラスの両クラスのサービスが終わってから、残った時間から公平休憩時間を算出するはずでは? 
今日はエコノミークラスは満席ではなくサービスが早く終わって、エコノミークラスの担当の同僚達とあなたは食事も済ませているかもしれないけれど、ビジネスクラスは満席で、サービスがやっと終わったところ。 
クルー全員が食事を取り終えてから休憩に入れるように考慮してもらえていたら公平だったと思う」
 
パ 「食事は休憩時間中にも取れるでしょ?」
 
私 「全員がそうならいいけれど、ビジネスクラス担当の私達だけが食事を休憩時間中に取らなければならない、というのは、その分私達だけOCRで休む時間が減ってしまう訳だから、不公平だと思う」
 
パ 「・・・・・」
 
私 「それから、(この際だから、ついでに言ってしまう) B747のAゾーンや、B777の満席のビジネスクラスで、パーサーが全然手伝いに来なかったのは初めてだった。 病人が出たとか何か故障箇所が見つかったとかの問題も何もないのに、手伝いに来ないのは何故??」
 
パ 「ドリンク・サービスを手伝ってあげたじゃない!」
 
私 「それは私達が頼んだからで、頼まなかったら手伝いに来なかったでしょ?」
 
パ 「もちろん頼まれなければ手伝わない。 ビジネスクラスの手伝いは、パーサーの仕事じゃないから。 
手伝いがないとサービスができない、というなら"仕事量が多過ぎて二人ではこなせない"という報告を会社にする必要がある。」
 
私 「もちろん二人だけでもサービスはできるけれど、満席の時、今まで、どのパーサーも、お客様をお待たせしないようにと、いろいろと手伝いに来てくれ、そのお陰でスムーズにサービスを終えることができていた。 他のビジネスクラス担当の同僚達も同感だと思うけど・・・」
 
パ 「ビジネスクラスを手伝うなんて、パーサーの仕事じゃないんだから、私はしないわ!」
 
私をキッと睨んで立ち去ってしまった・・・(^_^;)
 
日本人の同僚に
「misaeさん、勇気ありますねぇ~」
と言われて
「パーサーを怒らせちゃったりして、マズかったかな・・・(- – ;)」
とちょっと不安になりましたが、
とりあえず、まずはギャレーを片付け、Oさんと一緒に食事を取り(←もう腹ペコでしたからxxx)、それから改めてパーサーのところへ。
 
私 「怒ってる?」
 
パ 「別に」
 
私 「スチュワーデスのくせにパーサーに向かって生意気な、と思ったかもしれないけれど、あなたがビジネスクラスの手伝いを全くしない、ということは、他の同僚達からも聞いた。 もし本当に毎回ビジネスクラスを手伝っていないのだとしたら、きっと、いつも陰で文句を言われていると思う。 私は陰口は言いたくないから、こうして正直に話してる。 
今までパーサーがビジネスクラスを手伝いに来なかったことはなかった、と言ったのは本当に本当のこと。 
確かに、ビジネスクラスを手伝うということは、パーサーの仕事のマニュアルには書かれていないかもしれない。
私達スチュワーデスの仕事のマニュアルにも、"自分の担当エリアのサービスが終わっても、同僚のエリアが終わっていなければ、手伝いに行く"とも、"エコノミークラス担当でも、ビジネスクラスが忙しそうな時は手伝いに行く"とも、"ビジネスクラス担当でも、エコノミークラスが忙しそうな時は手伝いに行く"とも、書いていない。 
それでも、自分の仕事でなくても、私達はいつもできる限りお互い助け合っているし、それがチームワークなのでは? 
パーサーの仕事じゃないから手伝わない、というのは、間違ってると思う。」
 
パ 「・・・考えとく。」
 
パーサーに意見するのは勇気が要ります。
でも、(次に彼女と一緒にフライトする)同僚達の為、より良いサービスの為、(そして彼女自身の為にも!)伝えるべきことは伝えておかなくては・・・と思ったのデス。
 
到着前のサービスも結局手伝いに来なかったパーサー。 
・・・まぁ今回は、相棒は大先輩のOさんでしたし、こんな私でも乗務暦18年ですから、抜かりなくサービスいたしましたが(笑)
 
アムステルダム到着後は、クルーセンターで同僚達と順に握手をして別れます。
パーサーと握手する番になって、(まだ怒ってるかな・・・と)ドキドキしながら手を前に出すと
「ビジネスクラスを手伝う件、考えておくから・・・」
と、何故か急に従順なパーサー。
「お客様からあなたに、"素晴らしいサービスだった"とコンプリメントをいただいているわ。 よく頑張ったわね!」
と、お褒めの言葉までいただきました・・・(✿ฺ^-^✿ฺ)
 
誠意が伝わった・・・?
 
次のフライトも東京便です
 
 

フライト日記 (Tokyo) つづき」への2件のフィードバック

  1. misaeさんスバラシイ!!!感動しました~私(涙)歳とともに、若かった時には気が付かないことが沢山あるんですけどお局ぽくってついつい後輩に言うのがためらいがちの私。でも、misaeさんが思われる通り、そのことは他にも不満に思っている人がいて、陰口を言われてたりもしてるのでやっぱり言わないと!ですね。。。自分でいうと、嫌われるかも・・・とついついマイナスばかり考えちゃいますが、それって誰のプラスにもならないですもん。私、misaeさんのような上司欲しいです!!!

  2. >road-manさん
    まぁ!ありがとうございます。
    でも、本当に、今の私があるのは先輩方のお陰だと思っています。
    素敵な先輩方ばかりなんですよ!
    言いづらかったこともおありだったでしょうに、私の為を思って、親身になってご指導下さった先輩方・・・私も同じようにできたらいいな・・・と思いながら乗務しています。
    相手の為を思って"叱る"のと、自分のエゴで"怒る"のと、違いを意識できていれば、思いは相手に伝わるのだと思います。 
    (これ↑、子供の教育にも当てはまりますよネ)

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