フライト・セイフティー試験&訓練

 
日本から戻った2日後、ドバイへのフライトの前日に、Flight Safety Recurrent (General) を受けました。
 
1年に1度のフライト・セイフティー試験。 (フライト・セイフティーの)一般常識とセキュリティーに関する試験と機種別の試験の2種類があります。

今まで同じ日に行われていた一般常識機種別の試験&訓練が、今年から二日間に分かれて行われるようになり、セキュリティーの試験&訓練が加わりました。
 

今回受けたのは、前者の一般常識とセキュリティーに関する試験。 (機種別の試験は8月に合格しています♪)
 
朝、8時30分から試験が始まるので、朝6時30分には家を出て、空港へ向かいます。 訓練所があるのは、空港近くのSchiphol/Oostという場所。
最初の15分間に筆記試験が行われ、その合格者だけがそれ以降(夕方4時過ぎまで)行われるフライト・セイフティー・トレーニングに参加できます。
筆記試験に合格できないと、即、家に帰され、別に日に行われる追試に合格するまで 乗務停止となるので、毎年とても緊張します・・・困った
 
フライト・セイフティーのマニュアルは、分厚い(厚さ5cm以上)ので、毎年試験勉強が大変なのですが・・・どういう訳か、テストは結構好き(←小学校高学年時代、毎週塾でテストを受けていたお陰??)なので、毎年100点満点目指して気合を入れて勉強しています(笑)
 
テストの後のトレーニングも、毎年非常に興味深く、特に、モックアップ(=飛行機の原寸模型)でのシュミレーションでは、毎年新たなヒントを得られます。

  

4種類くらい、別のタイプの緊急時での脱出訓練をするのですが、それぞれ、試験を受けに来ているCA(大抵約20名)のうち、5名が乗務員役、残りが乗客役をします。
 
私が乗務員役をやった時の緊急事態は・・・
   離陸前の滑走中に急ブレーキがかかり、機長が離陸を中止。 
   間もなく客室内に白い煙がたちこめ、「ピー・・・ピー・・・ピー・・・ピー・・・」というアラーム音が聞こえてくる
というもの。
 
冷静にマニュアルに書いてあることを思い起こすと、離陸中止の時は、
① 機長からの「全員着席して待機せよ」というアナウンスが入り、パーサー機長と連絡を取って今後の指示を仰ぐ、というパターン
② 「ピピピピピピ・・・・・」という脱出アラームに続いて機長から「脱出せよ」のアナウンスが入って、(乗客の)脱出を開始する、というパターン
③ 機長からのアナウンスはなくとも、乗務員自身が脱出が必要だと判断した場合は、担当の非常用ドアを開け、(乗客の)脱出を開始する、というパターン
があります。
 
白い煙は、急ブレーキによって焦げたタイヤからのもの。
「ピー・・・ピー・・・ピー・・・ピー・・・」というアラーム音は、脱出アラームではなく、白い煙に反応した煙感知器のアラーム。
これらは離陸中止時によく起こる現象。
よって、脱出の必要はなし。 着席のまま、落ち着いて、機長からのアナウンスを待つ。
 
・・・というのが私の判断でしたので、着席したまま機長のアナウンスを待っていると、反対側のドア担当の乗務員役の同僚が突然立ち上がり、
「緊急事態発生! シートベルトを外して、脱出して下さい!」
と(もちろん日本語ではなく英語で)叫び、ドアを開けて乗客を脱出させ始めたのでちょっとビックリ。
 
どうして?!
煙を見て火災だと思ったのか?
煙感知器のアラームを脱出アラームと間違えたのか??
機長からのアナウンスはまだない・・・
どうする?!
 
他の乗務員役の二人を見ると、やはり困惑していました 考え中
 
間もなくして、脱出アラームと共に、機長から「脱出せよ」とのアナウンスが。
私と他の二人も、乗客の脱出を開始。 乗客役の同僚達が全員、脱出用スライドを滑り降りたのを確認して、乗務員役の私達も機外へ。

訓練が終了すると、その緊急事態について、そして乗務員の対応について、皆で話し合います。
トレーナーから全員へ
「自分は脱出の必要はないと思っているのに、同僚の一人が緊急脱出を始めてしまったら、とうすべきか?」
という質問が。
 
答えは・・・
「誰かが緊急脱出を始めたら、全員それに倣って脱出を開始する。 
One for all, and all for one = 一人は皆の為に、皆は一人の為に」 ( ← 『三銃士』の名文句)
それがチームワークであり、また、そうでないと乗客が混乱してしまうから。
・・・確かに!
 
そして、コックピットあるいはパーサー以外の乗務員が脱出を開始した場合に忘れてはならないのは、パーサーが直ちに脱出アラームのスイッチを入れること。
そうすることにより、客室で緊急脱出が開始されたことがコックピットに知らされ、コックピットは直ちにエンジンを切ることになっているのだそうです。
エンジンを切ることがどうして必要なのか・・・エンジンが切られる前に脱出すると、たちまちエンジンに吸い込まれてしまうからデス・・・( ̄□ ̄;)!!
エンジンが切られたことを確認(=脱出アラームを確認)してからお客様を脱出させるようにしないと・・・φ( . . )メモメモ
 
勉強になりました♪
訓練内容は(乗務員役をする人によっても)毎回異なるので、学ぶことも毎回異なります。 
これは重要ひらめき と思うことを学んだ時は、フライト前のブリーフィング時に同僚達と情報交換します。 
私はこれからしばらく、このお話"One for all, and all for one"をしようと思っています ウインク

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