フィギュアスケート選手達の声とラフマニノフの『鐘』

 
今日(日本時間だともう昨日ですが)閉会したバンクーバー五輪
 
冬季オリンピックで私が一番楽しみにしているのはフィギュアスケートです。
素晴らしい演技と美しい音楽、そして素敵な衣装を一度に楽しめるので スマイル
 
今大会で一番印象に残っている女子シングル・・・
これに関して多くのフィギュア選手からのコメントが掲載されていました。 
いろいろ考えさせられるコメント。 皆さんにもお伝えしたくて・・・↓
スキーキャンデロロ (仏)  ’94リレハンメル’98長野銅メダリスト

「あの点差は誰も理解できない。真央の方が難しい技をしているのに、どうしてこうなるのか?」

スキーストイコ (加)  ’94リレハンメル’98長野銀メダリスト

「ヨナの滑りは素晴らしかった。だが得点が異常に高い。 ヨナがあんなに上なのは同意しない」

スキーブッテルスカヤ (露)  ’99世界選手権優勝 長野・ソルトレイク代表

「審判は真央を正当に評価するべきだ。 なぜこれほどの大差がつくのか理解できない」

スキーハミルトン (米)  ’84サラエボ金メダリスト

「(ヨナが)リンク上で見せる挙措動作全てに加点されている。 呼吸をする度に得点を得ているようにさえ見える。」

スキーコーエン (米)  トリノ銀メダリスト

「ヨナはスピードがあってパワフルだけどマオほど難しいプログラムはやってない」

スキープルシェンコ (露) ソルトレイク銀・トリノ金・バンクーバー銀メダリスト

「アサダのレベルは人類史上最高だよ。俺が女だったら勝てないだろうね。  キムは4回転を2回跳んだのか?」

 
スキーロシェット (加) バンクーバー銅メダリスト

「マオ(浅田)にも感謝したい。果敢にトリプルアクセルに挑んだ姿を見て、私は悲しいことなんか忘れて正直、燃えたわ。ありがとう」

スキークワン (米)

「3アクセルの後に2ジャンプを付けるなんて、考えられない、すご過ぎる!」

真央ちゃん、惜しくも金メダルを逃してしまいましたが、
彼女の演技を高く評価してくれる同僚が大勢いて、なんだか私も嬉しくなりました。
 
彼女の敗因はコーチの選曲&演出指導のミス・・・という声もあるようですが、
ピアニストの山形リサさんのブログに、大変興味深いお話が掲載されていましたのでご紹介します↓
~~~~~~チャペル~~~~~~チャペル~~~~~~チャペル~~~~~~

ラフマニノフの『鐘』。

正確には『前奏曲 Op.3-2』というピアノ曲で、

実は私の十八番だったりする。
そして、私の修士論文のテーマは
『ラフマーニノフの音楽における「鐘」のモティーフについて
~幻想小曲集Op.3を中心に~』
というもので、この前奏曲『鐘』は、幻想小曲集の中の第二曲目であり、
ロシアにまで行って研究、勉強した思い入れのある曲だ。

なのに、このオリンピックに関連してテレビで本当~にいい加減な曲の解説がされていて、

今日、とある番組で
「もともとは女性の愛をテーマにした曲だそうです」
という解説を聞いたときには、顎がはずれそうになってしまった。

正直、オリンピックで真央ちゃんがこの曲を使うと知ったときは

「なぜわざわざこの曲を・・・!?」
と、心配に感じた。

理由は後述するが、ガーシュウィンのピアノ協奏曲とは違って、

確実にスケートを滑るには難しい曲だからだ。
↑昨日のテレビではガーシュウィンについて
「全く知られていない曲をオーサーコーチが見つけ出した」
という解説がされていて、これまた顎がはずれそうになった(泣)
全然、無名の曲じゃないですから…。

でも、今日の真央ちゃんの演技を見て、音楽家としての私は

「よくぞこの曲をここまで…」
と驚嘆してしまった。
まずはじめに、赤い衣装を着ると金メダルを取れない
というジンクスがあって、
青い衣装にしないのかという話題があったが、
この曲で演技をするなら絶対に「青」は考えられない。
なぜなら、この曲の鐘のテーマは「警鐘」なのだ。
具体的には火事の。
(中身については戦争だったり、災害だったり
いろいろな原因があると思われるが)
彼女の演技は、炎のような強さ、逃げ惑う人々の苦悩、怒り、恐怖、
そしてそれらを乗り越えていく人間のたくましさを表現していた。

この曲は人々に危険が迫っていることを知らせる

「警鐘」
をモチーフにした曲なので、
聴く人に緊張、不安、焦りのような感情を引き起こす効果がある。

演者(選手)にしてみれば、普通の曲を使用するよりもはるかに

緊張度が高まるはずなので、
この曲でジャンプが飛びにくい理由は容易に想像ができてしまう。

オリジナルのピアノ演奏では、

今回のオーケストラ編曲版よりもリズムがはっきりしていて
音の流れや勢いを感じやすいのだが、
あえてオーケストラ版を使ったのは、
その’緊張感’をより一層引き出す効果を狙ってのことなんだと思う。

聴衆も曲から緊張感をあおられているので、

演技が成功したときの効果がより高まる
という計算だったと思われるが、
競技者のほうが聴衆よりも繊細なはずなので、
受ける影響も大変なものだったと思う。

タラソワコーチが

「鐘は誰にでも滑れる曲ではない。」
と発言しているが、まさにその通りだろう。

今回の選曲についての是非は置いておくとして、

私はこの曲を与えられた真央ちゃんに
尊敬と賞賛の気持ちを贈りたい。

ロシア人にとっての「鐘」という存在(曲のことではない)は、

我々外国人が想像するよりも
はるかに深く民族に根付いた歴史の一部である。

もしコーチ陣が

この曲の持つ音楽的効果を知らなかったとしても、
ロシア人である以上は
この曲の音楽的背景について絶対的に理解しており、
まさにロシアそのものといえる壮大なテーマを
真央ちゃんに与えているのだ。

上手な例えが見つからないが、

日本人コーチが外国人選手に「君が代」や「さくらさくら」を選曲した
と想定すると、
その裏にあるさまざまな感情を想像することができるのではないだろうか。

ロシア音楽を研究してきた私には、

タラソワコーチが真央ちゃんに託した情熱、信頼、誇り、
金メダルへの並々ならぬ思い入れが感じられ、
本当に本気の唯一無二のプログラムだったのだ
と思えてならない。

ただ、構成点において今回のように

「振り付け・構成」や「音楽の解釈」について採点されるのは、
いかがなものかと思ってしまう。

そもそも、どの選手も

オリジナルの音楽をそのまま使用しているわけではない。

時間制限があるので、

その選手の演技内容に合わせて上手に編曲がなされている。

何曲かある候補の中から選手が選んだと言っても、

どういう編曲がなされるのか、
またはなされた状態であることを知っている選手は
ほぼ皆無なのではないだろうか。

誰かが選手のために作ったサンプル音源の中からチョイスしている

だけの話で、
これは選手の技術や芸術性ではない。

今回の審判の中で、私のように

「鐘」のテーマを知っている、感じられる人
はどのくらいいるのだろうか。

現在の採点方法が継続するのであれば、

全員同じ曲、同じ衣装で滑ったほうが公平だろうと思う。

追記:

この曲にはもともと「鐘」という題名は付けられていません。
ロシア人にとっては、
この曲の鐘のモティーフがすぐに理解できるゆえに
「鐘」という通称がついているのです。

http://blog.goo.ne.jp/risapiano/e/9d0ab0a13b2f6a905304bba839406502

・・・というお話を聞いた後にもう一度改めて彼女の演技を見ると、
印象がまた違ってきますぴかぴか(新しい)
 (オリンピックの映像ではありませんがxxx) ↓
 
     
(ホームから再生する場合は、WMPの音楽を停止させてから
再生して下さいネ♪)
 
 

フィギュアスケート選手達の声とラフマニノフの『鐘』」への1件のフィードバック

  1. >さぶメールでコメントありがとう!!(Windows Live、どうしてログインできなかったんだろうね・・・???)>彼女は「可憐な妖精」を演じさせたら、最強のスケーターになると思うけれど、その役はもうありふれてるし、表現力として評価されるには物足りない。>それでチャレンジしたけど、でもロシアのクレムリン宮殿の警鐘を演じる「女」にはなれなかった、のかも。 なるほど、そうかもねぇ・・・>今回の採点は、男子も女子も「テクニック」より、「演技」にポイントがついてる気がするのね。>プルシェンコさんも「金髪の王子様」やったら、最強だろうけど、悪魔の演技ができるかどうか。>そう考えると浅田さんもプルシェンコさんも、テクニックは最強だけど、演技者としてはNo.2だったんだと思う。 なるほどねぇ・・・そうかもしれない。> 「演じる」という点だけで評価するなら、安藤さんの方が浅田さんより上。安藤さんもメダリストに匹敵するほどのウマさがある、トリノのメダル争いなら、確実に入ってた。あ、私もそう思った。>若干疑問があったのは、長洲さん、ちょっと実力+アルファな気がするのは、やっぱりカナダジャッジはアメリカに弱いか????? ふふ、そういうこともあるのかもネ(笑)>日本人は市民革命の経験が無いので、「前奏曲 鐘」のような緊迫した空気を創りだし、共感を得るのは難しいかも。国を追われたり、国を奪われたり、ヨーロッパでは当たり前にあった歴史がないので、演じるにしても、また周囲の評価を上げるのもむずかしいのかなーって。 本当、そうだと思う。 そんな中、真央ちゃん、本当によく頑張ったと思う。 次のオリンピックが本当に楽しみです (*^-^*)

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