2008年5月
(NRT)
先月、ソウル便に乗務した翌々日から(『チューリップ休み』という、学校のお休み中だった)子供達と約1週間一時帰国し、
オランダに戻ってから約1週間(私達と同じ便でオランダに遊びに来てくれた)中学高校時代の友人2人のツアーガイドをした後、
その友人達をお客様として迎えての東京便乗務。
空港到着後、まずはクルー・センターでリポーティングを済ませ、私のスーツケースを預けてから、
友人達とレオニダス・チョコレートを買いにスキポール・プラザ(←空港ビル内のショッピング・センター) へ。
ここではIDを見せると10%割引していただけるのです♪
チョコレートをどっさり(←100ユーロ分!!・・・友人がデスよ)買い込んだ後、チェック・イン・カウンターへ。
そこに、(オランダにベースを移して間もない頃=15年前に一緒に乗務し、昨年久し振りに再会した)機長のフランクが、わざわざ挨拶に来てくれました。
偶然にも彼も同じ東京便乗務だったのです。
友人達を出国審査場前まで送って、フランクと一緒にクルー・センターに戻り、パーサーに挨拶。
ブリーフィングの後、ゲートのところで地上職員に友人達のことを頼んで、機内へ。
私達CAは搭乗開始の15分前に飛行機に乗り込み、非常用設備の確認や、セキュリティー・チェック、ミールなどの搭載物のチェック、ビジネスクラスではウェルカム・ドリンクの用意などをします。
機種はボーイング777。 担当はビジネスクラス。
パーサーが
「満席でなかったら、お友達をビジネスクラスにアップグレードして構わないわよ」
と言ってくれていたのですが・・・残念ながら満席。
サービスが一段落し、休憩時間。
同じギャレーの同僚と、交代で約2時間の休憩を取ります。
日本路線他、長距離路線を飛ぶ飛行機には、機内に乗務員用の休憩室があり、このボーイング777にはOCR(=Overhead Crew Rest)という休憩室が、隠し扉から階段を上がった客室の天井裏にあって、そこにあるベッドで横になって休むことができるのですが、OCRには行かずに、友人達をビジネスクラスのギャレーに迎えて、ビジネスクラスのサービスの説明をしたりしていました。
ビジネスクラス担当の時は、『30分に一度コックピットと連絡を取り、無事(?)を確認する』という任務もあります。
私は休憩中でしたが(相棒は朝食のサービスの準備で忙しそうだったので)代わりにコックピットに電話。
機長のフランクが電話に出ました
(←機内のインターフォン)

私「担当ドア21番のmisaeです。」
(↑911のテロ以降、電話をする時には、自分の名前の他に担当ドア番号を告げることになっています)
(↑電話を受けた時も、自分の名前と電話を受けたドア=大抵の場合、自分の担当ドア・・・の番号を告げます)
フ「ヘ~~~イ(←「おぉ~~~」とか「よぉ~~~」とか「やぁ~~~」のような感じの言葉で、オランダ人の同僚がよく使います)misae!」
私「調子はいかが?」
フ「いいよ。 そっちは?」
私「今、休憩中。」
フ「OCR行かないの??」
私「友人達をギャレーにご招待しているの・・・コックピットに案内してもいいかしら・・・?」
フ「ん~・・・信用できる?」
私「もちろん!」
フ「本当に信用できる??(←半分笑いながら)」
私「大丈夫!」
フ「君の友達なら信用できるよネ・・・じゃあ連れておいで!」
911のテロ以来、お客様のコックピットへのご案内は禁止されていますが、このように、機長の許可が得られた場合に限り、お客様をコックピットにお連れすることができます。
テロ以前は、お客様がコックピット見学をご希望されれば、私達乗務員が同行することを条件に、(忙しい時でない限り)ほぼいつでもコックピットにお連れすることができたのですが・・・
コックピットから見える景色は、それはそれは素晴らしいので、皆様にお見せすることができず、本当に残念です。
コックピット見学、友人達に喜んでもらえ、私も嬉しかったです(*^-^*)
満席でしたが、相棒が日本人の同僚だったので、サービスは大変スムーズです。
大好評をいただいているホテル・オークラの和食ミールの数が(お客様の大半がご希望された為に)足りなくなるというアクシデントがあったりしましたが、誠心誠意を尽くして接することでカバーし、無事、成田到着。
機内アナウンスは、日本ベースの日本人乗務員が担当するのですが、友人も乗っていたので折角だからと
到着後のお別れのアナウンスだけ、私がさせていただきました。
(↑どうやら友人達は気付いていなかった様子ですが・・・(^^ゞ)
到着ロビーで友人達に別れを告げ、クルーホテルへ。
後はいつもの成田ステイのスケジュール=2~3時間仮眠を取った後、ホテルで自転車をレンタルして100円ショップへ行き、クルードリンクまでに戻って、夕食の後はカラオケ=です♪
夕食はいつもの鉄板焼き屋さんへ。
食事中、妹からのメールに返信していると、隣に座っていたフランクが
「深刻な顔して、どうしたの?」
と心配してくれたので、事情を話しました。
実は、祖父が亡くなったのです・・・丁度、前の週の一時帰国中に危篤になり、亡くなる前に会いに行けたのですが、明日が告別式で、明日の便でオランダに戻らなくてはならない私は、告別式で読み上げてもらうメッセージを妹宛に書いていたのでした。
それを聞いたフランクが
「どうしてもっと早く言わなかったんだ! 祖父母の告別式にはお休みがもらえるんだよ! 折角日本にいるのに・・・!」
と言うので
「え・・・でも明日は乗務だから・・・。 日本では『仕事は仕事、プライベートはプライベート』。 まさかお休みをいただけるなんて思ってもみなかったし・・・」
と答えると
「今から会社に電話するから社員番号教えて!」
それからフランクは携帯電話で会社(=オランダ)に電話を入れ、私が成田にもう1泊できるよう、交渉してくれたのです!!
あまりに急だった為、結局お休みはいただけなかったのですが、フランクが私の為にこんなにまでしてくれたことに、本当に、心底、感動しました。
こういう同僚達がいる会社に勤めることができて、私は本当に幸せ者です・・・(>_<。。。
夕食後は皆でカラオケへ・・・♪
いつものことながら、最初は
「私は歌えない」
とか
「歌いたくない」
とか言っていた同僚に限って、マイクを離さなくなる・・・(苦笑)
帰りの便は、機種が変わってボーイング747-400。(=コックピット・クルーが変わります=フランク達ボーイング777のコックピット・クルーは、成田にもう1泊して翌日の便でオランダに戻りました)
担当は1階のビジネスクラス。
満席でしたが、1階のビジネスクラスは18名のお客様を一人で担当するので、自分のペースで、ゆっくり丁寧にサービスできました。
次はテヘラン便です。
追伸 翌日の便で、また別の友人がオランダに遊びに来てくれたのですが、
フランクの計らいで彼女もコックピットを見学させてもらえたそうです。
フランク、ありがとう!! (このご恩はいつか必ず!)