2006年3月 つづきのつづき
(GRU)
置き引きに遭ったのは、カフェで私の隣(!)に座っていたニコル。
盗られたのは、買ったばかりのビーズがたんまり入ったビニールの買い物袋・・・と、その中に入れてあったハンドバッグ・・・ハンドバックの中には、財布・クレジットカード・携帯電話・パスポート・会社のID等、貴重品と呼ばれる物のほとんど全てが入っていました。
サンパウロ到着時に受け取ったクルーインフォに「置き引き、ひったくりに注意。 高価なものは身に付けず、荷物から決して目を離さないように」という文章が書き加えてあって、「クルーインフォにこんな注意書きが書かれている国、他にあったかしら・・・そんなに危ない国なのかな・・・」と思っていた矢先でした。
思い起こせば、彼女が「あああぁ~っ!!私の荷物はどこっ?!」と青くなるしばらく前、彼女の後ろで立ち話していた怪しい二人組み(男女?)がいたのです。 他の人々は全員テーブルに着いて食事をしている中、その二人だけが立っていて、「なんだか不自然だなぁ・・・」と思っていたのですが、ビーズの話で盛り上がっていて・・・しばらくして、その二人組みとは反対側からブラジル人男性が一人、宝くじの様なものを売りに来たので、皆で「ポルトガル語はわからないから、いらない」と断って、その男性が諦めたように(でも内心ニヤリとしながら?)立ち去っていったその直後に、ニコルが彼女の荷物が無くなっている事に気付いたのでした。 恐らく三人組の泥棒さんだったのでしょうね・・・
携帯電話を持っていたのが私しかいなかったので、私の携帯でオランダにいるご主人にクレジットカード会社etc.に連絡を取ってもらうようスカイメールを送った後、ニコルは警察へ。
しばらくして私の携帯に電話が入りました。 いつもならフライト先では電話は取らない(オランダからの国際電話料金がかかってしまいますから・・・)のですが、これはきっとニコルの旦那様からだろう、ということで、丁度警察官数人を引き連れて戻ってきたニコルに電話に出てもらったのですが、良く聞き取れないらしく2~3分で会話を断念。 数分後にまたかかってきて、またニコルに出てもらったのですが、またダメ。 もう一回かかってきた時には、「よく聞き取れないのなら、出ても無駄なのでは・・・」と思いつつも出て、やっぱりダメ。
ニコルがブラジルにいるということはご主人もわかっているはずで、オランダの携帯電話にオランダから電話をした場合、かけた方は国内電話料金でも、かけられたこちらは国際電話料金になるってこともわかってるはずなのに・・・ど~してこんなにかけてくるのかなぁ・・・
「おっかしいなぁ」と思って、ふと送信記録を見てみると、ニコルが送信したメールには・・・
「ダーリン 泥棒にあっちゃった クレジットカードをブロックしといて 携帯電話も家の鍵もない じゃあね」
しか書いていなくって、彼女、自分の名前を書いてない・・・。 名無しのこんなメールが、知らない番号から送られてきたら、どうする? オランダ国内の携帯番号だし、内容が内容なので、本当かどうか、電話して確かめよう!・・・私ならそう考えるだろうなぁ・・・だから電話してきたのに違いない。
ニコルとオランダ人同僚の一人が警察署に盗難証明書(?)書きに行くことになり、残りは先にホテルへ戻ることに。
ホテル到着後、ニコルのご主人に
「ニコルの同僚のmisaeです。 彼女が盗難に遭って、携帯電話も盗られてしまった為、私の携帯からあなたへメールを送りました。 ブラジル・サンパウロより」
と、もう一度メールを送信。 その直後に彼からお礼のメールが届きました。
一緒にいた同僚に「あの電話、やっぱりご主人からだったんだね。電話料金、ニコルにちゃんと請求しなよ~!」と言われ、警察署から戻ってきた彼女に(盗難に遭った上、電話料金まで請求してはなんだか可哀相・・・と気が咎められたのですが)その旨伝えると、「警察署から主人に電話入れたんだけど、彼、メールを返信しただけで、電話はしてないって言ってたわよ。」
・・・電話の着信記録には3回分共"電話番号非通知"としか出ていなく、誰がかけてきたのかわからないし・・・お役に立てたことだけ喜び、国際電話料金は(たまたま携帯を持ってた私が)不運だったってことで諦めよう・・・
と思ったら、別の同僚が「ちょっと、ニコル! misaeは普段はフライト先では電話には出ないのに、あなたのご主人からだと思ったから3回も電話にでたのよ! 電話してきたのは、別の人だったかもしれないけど、あなたの為に電話に出たんだから、ちゃんと支払うべきだと思わない?」と説得してくれたのでした。 (あー本当にその通りだ・・・と感心してしまった・・・私ももうちょっとしっかりしないといけないのかな・・・)
(ホテルのバーのグランドピアノ)
夕食後、同僚何人かとホテルのバーで飲むことに。
テーブルに案内されて間もなく、バーの支配人らしき男性が「ピアノを弾きたい時はおっしゃって下さいね。」と言いに来た・・・レストランと一続きになっているバーなので、皆さんご存知らしい・・・
丁度専属のピアニストが演奏していらっしゃったし、食事中ワインを(グラス7杯程)いただいていましたので、今は遠慮しておこう・・・と思っていましたら、演奏を終えたピアニストが近づいてきて「ピアノをお弾きになるそうですね。」と話しかけてきました・・・ピアニストまでご存知だし。
現在は連弾のレッスンを受けている、ということを伝えましたら
「楽譜をお持ちなら、一緒に連弾しませんか?」ときた・・・
あまりに光栄で、まるで「お嬢さん、一緒に踊りませんか?」とでも言われたようでした。
ワインを飲んでいなかったらお断りしていた(?)でしょうが、お酒のせいで気も大きくなっていたのでしょう、早速部屋から楽譜(音大を卒業してから乗務員になった同僚も結構いて、たま~にですが、一緒に乗務することもあるので、連弾用の楽譜もいつも持ち歩いているのです)を持って降りて来て、一緒に連弾させていただきました。
弾き終わって、ピアニストのエドワードさんが一言「君のピアノは独特の響きがあるね・・・」
これ、よく言われるのです。 独特のトーンで、聴いていると、独特のエネルギーのようなものが伝わってくるのだそう。
また同じことを言われて、独特の響き・エネルギーって何だろう・・・と考えてみました。
もしかしたら「気」と関係があるかも・・・20年くらい前に、何かの本で「体のエネルギーを心臓の所に集めて、それを徐々に腕から手へ移動させ、相手の体に手を当てることによって、指先からエネルギーを相手に受け渡すことができる」というようなものを読んで、指先にエネルギーを集め、それを指先から発する練習をしたことがあるのです。 もちろん目には見えませんので、本当にそんなことが起こっているのか確かめることはできませんが、体の中心に集まった温かい何かが腕から手・指先へと移動していくのが感じられるのです。
普段は、同僚達に指圧マッサージをする時だけ、指先からエネルギーを受け渡すように意識しますが、今思うと、ピアノを弾いている時も(暗譜で弾ける曲だけですが)無意識にそうしているかもしれない・・・ピアノの音を通じてエネルギーが相手に伝わるとしたら、スゴイことだと思いませんか?!
でも、私のは眠りを誘うエネルギーかも・・・子供達のベッド・タイムに私がピアノを弾くと、本当に見事にすぐ眠ってしまうし、弾いてる自分も(自分の弾く曲を聴いているうちに)よく眠くなるので・・・
翌日も朝食後に1時間弾かせていただき、たまたま通りかかったホテル内飲食関係総マネージャーが「12時からのランチ・タイムにも是非弾きに来て欲しい」とおっしゃって下さったので、12時からまた1時間(なぜ毎回1時間かというと、暗譜で弾けるレパートリーと手持ちの楽譜の曲を全て弾き終えると丁度1時間だったのです)弾かせていただきました。
午後5時過ぎのコーリングの前に数時間休んで、ホテルをチェックアウト。
お世話になったコンシェルジェのグレゴリオさん、レストランのスタッフの皆様にご挨拶してホテルを後にしました。
帰りの便は満席。
パーサーがサービス・スケジュール(どのようなサービスをどのような順序でするか記載されたプリント)を紛失してしまい(・・・この頃には、パーサーの失態には誰も驚かなくなっていた・・・)、他の路線のスケジュールを参考に、夜の便でしたのでお客様になるべく早くお食事をお出ししてお休みいただこうと、ドリンク・サービスをスキップしてすぐにお食事のサービスをすることに。 ところが、ミール・サービスの最中に、きっとこの便をよくご利用下さっているお客様だったのでしょうね、あるお客様に「今日のサービスは酷いな。 自分達が早く休憩したいからって、ドリンク・サービスを抜かして!」と怒られてしまいました。 「パーサーがサービス・スケジュールをなくしてしまって・・・」なんて言えませんから、「夜の便ですので、お客様方がなるべく早くお休みになれるようにと、お食事を早くお持ちしたのですよ。」と申し上げました。 ご不満そうでしたが、到着前にはにこやかにされていて安心しました。 心を込めてサービスすれば、気持ちは必ず伝わるのだなぁ、とつくづく思いました。
オランダに戻って、3月15日に11歳になった長男ミハーリのお誕生日会をしました。
(お休みをリクエストしていたのですが、先月のスタンバイで長い便に呼ばれてしまい、フライト・リーブが長くなってしまった為、丁度誕生日にフライトに出ることになってしまったのです)
ところで・・・
オランダに戻って来てから不在時のメールをチェックしましたら、「出張先から何度か携帯に電話したのだけれど、別人にかかっている様だった」というメールが! ・・・あの電話、ニコルの旦那様ではなく、日本の友人からだったのです・・・(ニコルの旦那様、疑ってごめんなさいxxx)
お願い
今度お電話下さる時には、(フライト先では通常は家族からの電話以外出ませんので、)ブログでスケジュールを確認の上、フライトに出ていない時にお願いします・・・m(_ _)m